Webシステムのインフラ構成におけるベストプラクティスは以下のようなものが挙げられます。
1. 冗長性の確保
- シングルポイントオブファイルのリスクを排除するため、重要なコンポーネントは冗長化しておくことが重要です。
- 具体例として、ロードバランサーを冗長化し、アクティブ/アクティブ構成や、アクティブ/パッシブ構成にします。Webサーバー、アプリケーションサーバー、DBサーバーの冗長化も行います。
2. 水平スケーリング
- 垂直スケーリング(スケールアップ)よりも水平スケーリング(スケールアウト)を優先することで、柔軟で拡張性の高いシステムを構築できます。
- 具体例として、アプリケーションサーバーをDockerコンテナ化し、コンテナオーケストレーションツール(Kubernetes)で管理することで、簡単にスケールアウトできます。
3. マルチリージョン/マルチクラウド
- 災害対策や高可用性のため、システムをマルチリージョンやマルチクラウドに分散させることが推奨されます。
- 具体例として、AWSではリージョンを東西に分けてシステムを立てます。マルチクラウドの場合、AWSと Azure/GCP を組み合わせるなどが考えられます。
4. セキュリティの多層化
- 単一のセキュリティ対策では不十分なので、複数の層でセキュリティ対策を行う必要があります。
- 具体例として、ファイアウォール/WAF、侵入検知システム(IDS/IPS)、VPNなどの導入と、適切なアクセス制限の設定、暗号化通信の採用などを組み合わせます。
5. モニタリングとログ管理
- システムの問題を早期に発見し、迅速に対応できるよう、適切なモニタリングとログ管理が不可欠です。
- 具体例として、Prometheus/GrafanaによるリソースモニタリングやLog DNSを導入し、インフラ/アプリ/ユーザーのログを一元的に収集・解析できるようにします。
6. インフラコードの管理
- インフラ環境をコードで管理することでほ変更履歴を追跡でき、再現性の高い環境が構築できます。
- 具体例として、Terraform、CloudFormation、Ansible などのIaCツールを用いてインフラコードを管理し、GitHubなどのVCSで履歴を保存します。
7. CI/CDの導入
- アプリケーションの継続的インテグレーション/継続的デプロイを実現することで、より高速でスムーズな開発/リリースサイクルを実現できます。
- 具体例として、GitHubActionsやJenkins、ArgoCD、Spinnaker などのCI/CDツールとKubernetesを組み合わせ、自動テストからデプロイまでの一連の流れを自動化します。
8. マイクロサービスアーキテクチャの採用
- 大規模システムではモノリシックアーキテクチャよりマイクロサービスアーキテクチャの方が、柔軟性、拡張性、障害影響範囲の局所化などのメリットがあります。
- 具体例として、ショッピングアプリケーションの各機能(ユーザー管理、商品管理、注文処理、決済など)をマイクロサービスとして切り分け、コンテナ化し、独立してスケーリングできるようにします。
これらのベストプラクティスを踏まえてインフラ構成を行うことで、可用性、拡張性、保守性、セキュリティが高く、かつアジャイル開発にも適したWebシステムを構築できます。ただし、組織の事業要件やリソース、システムの性質によっては、全てを適用するのは現実的ではない場合もあります。それぞれのメリット/デメリットを検討し、適切に組み合わせて構成する必要があります。