TypeScriptは、Microsoft社によって開発された、JavaScriptに静的型付けや新しい機能を追加した言語です。TypeScriptの主な特徴は以下のとおりです。
1. 静的型付け
TypeScriptではコード内の変数、関数の引数・戻り値などにデータ型を明示的に指定することができます。これにより、コーディングミスを事前に検出できるため、コードの保守性と信頼性が向上します。
let x: number = 5; // xはnumber型
let y: string = "hello"; // yはstring型
function add(a: number, b: number): number {
return a + b;
}
2. 型推論
型宣言を省略した場合、TypeScriptは変数や関数の値から型を推論します。これにより、冗長な型指定を避けることができます。
let x = 5; // xはnumber型と推論される
3. クラス・インターフェース・モジュールのサポート
TypeScriptはクラスベースのオブジェクト指向プログラミングをサポートしています。また、インターフェースを用いてコードの規約を定義し、モジュールによるコードの構造化も可能です。
// インターフェース
interface Person {
name: string;
age: number;
greet(): void;
}
// クラス
class Employee implements Person {
name: string;
age: number;
constructor(name: string, age: number) {
this.name = name;
this.age = age;
}
greet() {
console.log(`Hello, my name is ${this.name}`);
}
}
4. 段階的な導入
TypeScriptはJavaScriptのスーパーセットなので、既存のJavaScriptコードに段階的に機能を追加できます。TypeScriptコンパイラは標準のJavaScriptコードもコンパイルできます。
5. 豊富なツール/ライブラリ
TypeScriptには豊富なツールやライブラリが用意されています。IDEではコード補完やリファクタリングなどの機能が使え、Angular、React、Vue.jsなどのフレームワークでも公式にTypeScriptがサポートされています。
6. EcmaScriptの新機能のサポート
TypeScriptではEcmaScriptの最新の機能が標準でサポートされています。変数のスコープ、クラス構文、アロー関数、モジュール構文など、最新のJavaScript構文が使えます。
7. JavaScript互換
TypeScriptのコードはJavaScriptにコンパイルされるため、ブラウザやNode.jsなどのJavaScript実行環境で動作します。型情報はコンパイル時に削除されるので、実行時の処理は通常のJavaScriptと同様です。
TypeScriptを使うことで、大規模なJavaScriptアプリケーションの開発が容易になります。型による安全性チェックによりバグを事前に発見でき、オブジェクト指向の概念も適用できるので、保守性とコードの再利用性が高まります。一方で、コーディングの複雑さが増すというデメリットもあります。
全体としてTypeScriptは、JavaScriptに静的型付け機能を追加した言語で、大規模な開発プロジェクトにおいて非常に有用です。Angular、React、Vue.jsなどの主要フレームワークでも公式サポートされており、フロントエンド開発の場面で幅広く利用されています。